【簿記3級】仮払金・仮受金・預り金・給料解説|理解したら簡単!

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目次

仮払金について

仮払金とは内容が従業員等にあらかじめお金を渡しておくことや内容が不明な場合に仮の勘定科目として使用する勘定科目になります。

仮払金とは仮の資産の勘定科目

  • 出張等の旅費交通費等、出費する事はわかっていても現段階ではどれだけかかるのか、正確な金額がわからないときのような場合に、あらかじめいくらかを渡しておくお金
  • 現預金の支払いはあるが内容が不明なもの

このような場合に『仮払金』勘定(資産)で処理します。

「小口現金」と似ていますが、小口現金とは違います。
問題文に「小口」という言葉があるかないかで判断してください。

仮払金の仕訳は主に次の二つになります。

①仮払金として現金預金を支払った。

②仮払金を精算した、内容が分かった。  

仮払金として現金を支払ったとき

仕訳で確認していきましょう。

問題
従業員の出張にあたり、旅費交通費の概算額300円を現金で前渡しした。    

出張等の旅費交通費等、出費する事はわかっていても現段階ではどれだけかかるのか、正確な金額がわからないときのような場合に、あらかじめいくらかを渡しておく場合は、仮払金勘定を使います。
仮払金は資産になりますので借方になります。

 

仮払金を精算したとき

問題
従業員が出張より帰社し、出発時に概算払いした300円について旅費交通費として450円支払ったとの報告を受けた。不足額の150円は現金で支払った。    

一旦、仮払金として処理していた300円を精算する仕訳になります。
解き方としては、
①仮払金を無くす仕訳をしますので仮払金の逆仕訳
②実際に支払った内容、今回は旅費交通費(費用)の仕訳
③現金150円を支払っているので現金減少の仕訳
このようにひとつひとつ仕訳していきながら解答します。
難しい仕訳も基本的にはこのやり方で解きましょう!

仮受金について

仮受金とは、お金が口座に振り込まれているなど現金預金が増加しているけど、何のお金かわからないお金の事をいいます。

仮受金とは仮の負債の勘定科目

仮受金は、とりあえず受け取っているだけのお金で、あとで正しく処理をしなければならないお金ですので『仮受金』勘定(負債)となります。

似た勘定科目に前受金がありますが、前受金は商品売買に係るもの、それ以外が仮受金となりますのでしっかり区別しましょう! 

仮受金の仕訳は主に次の二つになります。

①内容不明の入金があった(仮受金を受け取った)
②内容が判明した(仮受金の意味がわかった)

内容不明の入金があったとき(仮受金を受け取った)

仕訳で確認していきましょう。

問題
出張中の従業員より当座預金口座に200円の振り込みがあったが内容は不明である。    

問題文に内容が不明となっているので仮受金か前受金が考えられます。
出張中の従業員よりとなっているので、これだけでは商品売買のものかもしれませんが、商品売買に係るという文言が問題に無いので仮受金勘定を使います。

内容が判明したとき(仮受金の意味がわかった)

問題
従業員が出張より帰社し、内容不明として処理した200円の振込額は、売掛金の回収であったことが判明した。    

内容が判明したら仮受金の逆仕訳を行います。

給料・立替金・預り金

一時的な立替払いの処理

仕入諸掛と売上諸掛でも立替金をみましたが、諸掛りは相手の会社負担の諸掛を立て替える場面で使いました。

ここでは、従業員の私用のお金を会社が従業員の代わりに一時的に立て替える場面で使います。

従業員に対する立替金なので、試験では『立替金』ではなく『従業員立替金』(資産)として処理することもあります
問題文の指示によってください。

従業員立替金』は、従業員の給料から差し引かれることが多いため試験では『従業員立替金』と『給料』(費用)がセットで出題されることがあります

給料』と聞くと、収益の勘定科目のような気がしますが、それは従業員から見た場合です。

当社から見ると費用となります。

立替払いしたとき

仕訳で確認していきましょう。

問題
従業員私用の支払い50円を会社の現金で支払った。    
※従業員立替金は、立替金とすることもあります。    

仮払金と似ていますが、仮払金は会社の支払いに係るものを従業員に前もって概算で渡しておくものです。
一方で、立替金は従業員の私用分を会社が代わりに一旦支払うものです。

立替払いを回収したとき

仕訳で確認していきましょう。

問題
従業員より、先日立替払いした50円を現金で回収した。    

従業員から立替金を回収したので立替金の逆仕訳をします。

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一時的な預かりの処理

金銭を預かったときは、負債の増加として『預り金』or『従業員預り金』勘定(負債)の貸方(右側)に記載します。

預かったとき

問題
従業員の現金100円を一時的に会社の金庫に預かった。    
※従業員預り金は、預り金とすることもあります。    

従業員預り金と似た勘定科目に仮受金がありますが、仮受金は内容不明なもの、商品売買以外のお金を受け取ったときに使います。
一方で、従業員預り金は従業員のお金を一時的に預かったときに使います。

②預かったお金を返金したとき

問題
従業員より預かっていた現金100円を返金した。    

 

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給料の処理

給料とは、会社の従業員が労働の対価として受け取るものをいいます。

従業員とは、会社と「雇用契約」を締結した者のことをいいます。

労働の対価」とは、働いたこと、すなわち、従業員が会社に対してサービス提供したということです。

そのサービスの対価をお金でもらうのが給料です。

なお、工場や建築作業員の給料を『賃金』ということがあります。

社長などの役員の受け取るお金は、雇用契約ではなく、「委任契約」となります。そのため、役員が受け取るお金は給料とは区別して、「報酬」といいます。勘定科目は『役員報酬』を使用します。

賃金と役員報酬は簿記3級では出てこないので、参考程度で構いません。

給料を支払うときは、従業員負担の社会保険料、所得税、住民税を会社が預かる(給料から天引きする)ことになります。

使用する勘定科目

社会保険料 『社会保険料預り金』(負債)※
所得税 『所得税預り金』(負債)※
住民税 『住民税預り金』(負債)(3級では出てきません)※
社会保険料の会社負担 『法定福利費』(費用)

※所得税預り金、住民税預り金は『預り金』勘定を使うこともあります。

実務での預り金について

実務では『預り金』勘定を使う場合は、売掛金の補助元帳を作成するのと同様に、社会保険料・所得税・住民税という補助元帳を作成することとなります。

給料を支払ったとき

問題
従業員に給料総額1,000円を支給し、源泉所得税100円、社会保険料200円を控除した残額を現金で支払った。  

会社が預かった所得税や社会保険料を納付したとき

問題
従業員の所得税の源泉徴収額100円と社会保険料の預り金200円に、会社負担分の社会保険料200円を現金で納付した。  

会社負担の社会保険料は法定福利費勘定(費用)を使います。

従業員に対する立替払いがあるとき

問題
従業員に給料総額2,000円を支給し、源泉所得税200円、社会保険料300円、および立替払いしていた100円を控除した残額を現金で支払った。  

次は実務のお話になりますので、資格取得の勉強の方はこちらから省略できます。

>>省略する

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実務での給料

実務では給料を翌月払いとしている会社もあります。
その場合、費用は発生主義が原則になりますので、未払金(会社によっては未払費用)として処理することになります。

従業員に給料総額2,000円を支給することが確定し、源泉所得税200円、社会保険料300円を控除した残額を翌月10日に現金で支払う。  

(借) 給料 2,000 (貸)所得税預り金 200
(貸)社会保険料預り金300
(貸)未払金 1,500

10日に従業員の給料を現金で支払った。  
(借)未払金 1,500 (貸)現金 1,500  

通勤費 

給与の中に通勤費というものがありますが、通勤費も人件費に含まれます。通勤費は所得税法上非課税となる金額が決められています。

ここでいう非課税というのは従業員さんの税金を計算するにあたって、所得税(税金)の対象となる給与には含めなくて良い金額ということになります。会社はこの限度額以上の金額を通勤費として支給しても問題はありません。もちろん、経費にもなります。

通勤費の非課税

マイカーなどで通勤している人の非課税となる1か月当たりの限度額の表
片道の通勤距離1か月当たりの限度額
2キロメートル未満(全額課税)
2キロメートル以上10キロメートル未満4,200円
10キロメートル以上15キロメートル未満7,100円
15キロメートル以上25キロメートル未満12,900円
25キロメートル以上35キロメートル未満18,700円
35キロメートル以上45キロメートル未満24,400円
45キロメートル以上55キロメートル未満28,000円
55キロメートル以上31,600円

 1か月当たりの非課税となる限度額を超えて通勤手当を支給する場合には、超える部分の金額が給与として課税されます。

 例)基本給200,000円、通勤費(距離4キロ)14,200円 合計214,200円

 ⇒この場合の所得税の対象となる金額は214,200-4,200=210,000円となります。

※通勤費14,200円ですが、距離が4キロのため上図にあてはめると4,200円が所得税の非課税となる金額のため4,200円を超える1万円が給料として所得税の課税対象となります。 

この他にも、電車やバスなどの交通機関を使って通勤している場合やマイカーと交通機関を併用している場合などは、別の方法により計算されます。

社会保険料

社会保険料は会社負担と従業員負担にわかれます。ざっくりいうと会社が半分、従業員が半分負担することになります。

社会保険料には健康保険料と介護保険料、厚生年金保険料があります。

報酬月額というのが給料の金額になります。報酬月額の金額によって標準報酬が決定し、給料から天引きされる社会保険料の金額が決まります。この表の中には介護保険料の金額が記載されていませんが。介護保険第2号被保険者に該当する場合としない場合で健康保険料の料率が異なっています。この差額が介護保険料の金額になります。

なお、介護保険料は40歳から64歳までの人が対象となり、健康保険料率9.73%に介護保険料1.79%が加算されます。

この報酬月額に含まれる給与は基本的に給与明細に記載される全てが対象となります。定期収入とは言えないボーナス(賞与)や見舞金、出張旅費などはふくまれません。

社会保険料の基礎となる標準報酬はいつ決まるのか

社会保険の資格取得をするとき(入社時)

・固定給として支給されるものはすべて含まれます。(基本給、役職手当、住宅手当など)
・見込まれる残業手当(例:平均的に30時間くらい残業が発生する場合は30時間分の残業手当を計上します)
・通勤手当(3ヶ月分、6ヶ月分で支給している場合は1ヶ月分の金額を計上。1円未満の端数は切り捨て)
・賞与の支給が年4回以上ある場合(就業規則で決まっている場合)は予定年額を1ヶ月分にならして計上します。

固定給の変動があり随時改定するとき(月額変更:げっぺんといったりします)

・変動のあった月に支給した固定給はすべて含まれます(基本給、役職手当、住宅手当など)
・変動のあった月に支給した残業手当
・変動のあった月に支給した通勤手当
(3ヶ月分、6ヶ月分で支給している場合は1ヶ月分・の金額を計上します。1円未満の端数が出る場合は切り捨て)
・賞与の支給が年4回以上ある場合(就業規則で決まっている場合)は年額を1ヶ月分にならして計上します。

随時改定

①固定賃金の変更があったとき
②固定賃金が変更された月を含む3ヶ月間の報酬支払基礎日数が17日以上ある
③3ヶ月間の平均給与月額から求めた標準報酬月額の等級が、現在の等級と比べて2等級以上変わったとき

これらのすべてを満たしたときに随時改定となり変更月から4か月目に社会保険料の金額が変わります。

また、固定賃金の変更があった場合のみなので、残業代が多かったというよな場合は、随時改定には該当しません。

定時決定で算定基礎届を作成する時

・4月〜6月に支給した固定給として支給されるものはすべて含まれます。(基本給、役職手当、住宅手当など)
・4月〜6月に支給した残業手当
・4月〜6月に支給した通勤手当
(3ヶ月分、6ヶ月分で支給している場合は1ヶ月分の金額を計上します。1円未満の端数が出る場合は切り捨て)
・賞与の支給が年4回以上ある場合(就業規則で決まっている場合)は年額を1ヶ月分にならして計上します。

定時決定は4月から6月の給与で標準報酬を算定します。その標準報酬はその年の9月から翌年の8月まで適用されることになります(随時改定を除く)

随時改定と異なり、定時決定は残業手当が標準報酬の対象となりますので、4月から6月の給与が残業などで多い場合は社会保険料の負担も大きくなります。

社会保険は従業員が1人以上の会社は強制適用となりますので、基本的に会社は社会保険に加入義務があります。

個人事業主の場合は、常時使用する従業員が5人以上いる場合に加入義務が生じます。ただし、理美容業や飲食業などのサービス業、農林漁業は強制適用となりません。

また、常時使用する従業員(社会保険に加入できる人)は従業員500人以下の企業の場合は正社員などの一般社員の4分の3以上の日数を勤務している人になります。

社会保険の専門は社会保険労務士になりますので、詳細は省略します。

雇用保険料

雇用保険料も給料から控除されます。

料率は、
一般の事業は、給料に対して従業員1000分の3、事業主1000分の6
建設業は、従業員1000分の4、事業主1000分の8
農林水産・清酒製造は、従業員1000分の4、事業主1000分の7となります。

所得税

所得税とは個人に対して課される税金になります。所得税は1月1日から12月31日の所得にたいして課される税金になりますので、本来は12月31日にならないと金額は確定しません。しかし、毎月の給与からは概算で所得税を控除することとされています。そして、年末調整をすることで、従業員の所得税を確定することとなります。

この年末調整制度は、国としては所得税の徴収漏れを防ぐことができ、個人としても自分で確定申告をしなくても良いので、非常に優れた制度とも言われたりしています。

毎月の所得税の計算方法

毎月の給料から控除する所得税は、給料(非課税通勤費、社会保険料、雇用保険料控除後の金額)を基に源泉徴収税額表というものを基に計算します。給与ソフトを使っている場合には電子計算機等を使用した場合の税額と多少異なることはありますが、年末調整で精算されるので結果としては同じになります。

仮払金、仮受金、従業員立替金、従業員預り金、所得税預り金、社会保険料預り金について見てきました。

内容的にはそこまで難しいわけではありませんが似たような科目がいくつかありますので混乱することも多いでしょう。

それぞれの科目の意味をしっかり理解するようにしてください。

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