役員退職金の限度額の目安(上限)。功績倍率は3倍ならOKか!

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目次

役員退職金とは

役員退職金とは、役員(取締役など)の人が役員から退任するときに支払われる退職金になります。

中小企業では役員退職金と株主が同じこともよくあります。

役員退職金の限度額の目安(上限)はいくらくらいになるでしょうか。

法律には明確に規定されているわけではありません。

そのため好きなだけ役員退職金を出しても良いんじゃないかと思われる人も多いとおもいます。

しかし、好きなだけ出しても良いわけではありません。

正確に言うと、好きなだけ出しても良いのですが、税金を計算する上で経費として認められなくなることがあります。

役員退職金については裁判でも何度も争われている項目にもなりますので裁判例も見ながら限度額の目安を考えます。

税理士ドットコム

役員退職金の算定の仕方

功績倍率とは

役員退職金の算定方法は次の算式によって算定されることが多いです。

「最終の月額役員報酬×従事年数×功績倍率」

この算式を基にそれぞれをあてはめて計算していきます。

ここに出てくる中で最も恣意性が介入するのは功績倍率になります。
功績倍率とは簡単に言うと、退職する役員が会社にどれだけ功績を残してきたのかということを
倍率で表したものです。

この算式のことを『功績倍率法』と言われています。

国税庁法令解釈通達 第7款 退職給与

功績倍率は3倍なら大丈夫と言われる理由

代表取締役の役員退職金を決めるときにインターネットや周りの人の情報から

功績倍率3倍は平気と聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

しかし、3倍であれば税務上問題が生じないという条文はありません。

それでは何を根拠に3倍と言われているのでしょうか。

一番の根拠となっているのが、昭和56年11月18日の東京高裁判決で第1審において税務署が主張した
『社長3.0、専務2.4、常務2.2、平取締役1.8、監査役1.6』という倍率を否認していないところから
きているものと思われます。

しかし、最高裁では3倍で計算した金額までは損金算入を認めていますが、功績倍率自体の求め方は認めていませんでした。

条文で具体的な功績倍率の記載はありません

  1.  内国法人がその役員に対して支給する給与の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、
    その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

    参照条文:(法人税法第34条第2項)クリックすると条文が開きます。以下、同じ。

  2.  内国法人が各事業年度においてその退職した役員に対して支給した退職給与の額が、当該役員のその内国法人の業務に従事した期間、その退職の事情、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給の状況等に照らし、その退職した役員に対する退職給与として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額

    参照条文:(法人税法施行令第70条の2

1の法人税法で不相当に高額な部分は損金の額に算入しないとし、
さらに2の法人税法施行令で不相当に高額な部分とは
従事期間、退職の事情、同種事業で事業規模が類似する他の法人において支払われた金額と比較する
となっています。

つまり、条文上は何倍なら良いとは定めてはいません。

この同種事業で事業規模が類似する他の法人と比較というのは一般の納税者には到底比較できるようなものではないので
改正するなり、ある程度の金額の公表があるべきでしょう。(完全な個人的見解です)

裁判例からみた功績倍率

3倍なら大丈夫と言われる一番の根拠となっているのが、先ほども述べた昭和56年11月18日の東京高裁判決の第1審において税務署が主張したものになるでしょう。

『社長3.0、専務2.4、常務2.2、平取締役1.8、監査役1.6』 という倍率を否認していないところからきているものと思われます。しかし、最高裁では3倍で計算した金額までは損金算入を認めていますが、功績倍率自体の求め方は認めていませんでした。

 すなわち、この判決では功績倍率3倍なら大丈夫という根拠となる判例とは言えないでしょう

ただ単に、3倍の金額が問題にならなかったというだけです。

その後において、功績倍率はさまざまな裁判で用いられるており、功績倍率法自体は定着しています。

しかし、納税者が同業種、同規模の役員退職金の平均功績倍率を見つけることはなかなかできないのが現状であること

実務上3倍なら争いにならない可能性があるということで、3倍という倍率だけが独り歩きしている状況かと思われます。

 実際に、裁判になった場合には次のような判決があります。

 1.東京高判平成26年5月19日 当初倍率13.5 → 1.91倍(平均功績倍率)

 ※なお、この裁判では納税者は平均功績倍率ではなく最高功績倍率の4倍が妥当だと主張しましたが認められませんでした。

 2.東京高判平成25年9月5日 当初倍率15.0 → 2.28(平均功績倍率)

 ※こちらも、納税者は平均功績倍率ではなく最高功績倍率の5.5倍が妥当と主張しましたが、平均功績倍率法を用いることが不合理であると認められる特段の事情がある場合には該当しないため平均功績倍率を用いるべきとしました。

このように裁判になった場合は3倍だから大丈夫ということはありません

功績倍率法の算式のまとめ

※功績倍率法とは、役員の退職の直前に支給した給与の額を基礎として、役員の法人の業務に従事した期間及び役員の職責に応じた倍率を乗ずる方法により支給する金額が算定される方法をいう。

 「最終の月額役員報酬×従事年数×功績倍率」

で求めた金額が功績倍率法です。

功績倍率は一律に何倍なら大丈夫とは言えないけれど、一般的に業績が良い会社であり、代表取締役の功績があるのであれば3倍なら問題無いことも多いかもしれません。

ただし、近年はこの3倍も安心とは言えなくなっています。

中には功績倍率が1.9倍や2倍すら認められなかった事例もあります。
功績倍率といっても、同業他社の退職金の平均額から算定する「平均」功績倍率ですから、算定した割合が3倍を下回ることもあり得ます。

※功績倍率法には、平均功績倍率法、最高功績倍率法などあります。

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結論

功績倍率に明確な基準は無いということを頭に入れておいてください。

一方で、3倍以上の倍率が認められていることもありますので、安易に3倍だから大丈夫とはせずに

しっかりと裁判例なども検討をしたうえで自社に合った倍率を決定するようにしてください。

なお、功労加算金を支給する場合もあると思いますが、功労加算金も含めて過大かどうかの判定になりますのでご注意ください。

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顧問税理士がいる方は大きな不満が無い限りそのまま継続してお願いすることが一番です。
変更することで仕事内容を一から説明する必要もあるし、変更したら余計に相性が悪かったなんてこともあります。
もし、不満がある場合はいろんな税理士を検討してみるのも良いでしょう。

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