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【2025年最新版】倒産防止共済(経営セーフティ共済)完全攻略ガイド~節税の「王道」から令和6年度税制改正による「落とし穴」まで徹底解説~

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目次

📋 【3分でわかる倒産防止共済の要点まとめ】

倒産防止共済とは?

取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐための国の共済制度ですが、「掛金が全額経費になる」ため、中小企業の節税対策の王道として活用されています。

節税の仕組みとメリット

全額損金(経費)算入:月額最大20万円(年間240万円)まで全額経費にできます。

最大480万円の圧縮:決算期に1年分を前納すれば、初年度に最大480万円の利益を圧縮可能です。

簿外資産の構築:累計800万円まで積み立て可能。決算書に載らない「隠し資産」として将来の備えになります。

⚠️ 【重要】令和6年10月からの「改正」

これまで可能だった「解約してすぐに再加入する節税ループ」が実質的に封じられました。

2年縛りの導入:解約後、再加入してから2年間は掛金を経費(損金)にできません。

影響:短期的な利益調整での「入ったり辞めたり」は、もはや節税メリットがありません。

失敗しないための3大チェック

40ヶ月(3年4ヶ月)ルール:40ヶ月未満で解約すると元本割れのリスクがあります。

出口戦略(解約時):解約手当金は「雑収入(利益)」になります。役員退職金や大規模な設備投資など、大きな経費が出るタイミングで解約しないと、後で多額の税金がかかります。

資金の固定化:節税にはなりますが、現金は手元から離れます。資金繰りに無理がない範囲(累計800万円まで)での加入が鉄則です。


企業経営を取り巻く環境は、原材料価格の高騰、円安の進行、人件費の上昇など、依然として不透明な状況が続いています。「黒字倒産」という言葉があるように、帳簿上の利益が出ていても、資金繰りがショートすれば企業は存続できません。

こうした環境下で、中小企業の経営者にとって「守り(連鎖倒産防止)」と「攻め(賢い節税)」の両面で最強のツールとされてきたのが、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する「中小企業倒産防止共済(愛称:経営セーフティ共済)」です。

しかし、この「伝家の宝刀」とも言える制度に、令和6年(2024年)10月、歴史的な大改正が入りました。これまでの「常識」が通用しなくなった部分があり、過去の知識のまま安易に利用すると、思わぬ税務リスクを負うことになります。

本記事では、税務・会計の専門家である税理士の視点から、制度の基本、メリット・デメリット、そして最新の法改正を踏まえた「真の活用法」について、憶測を排し、実務に即して徹底解説します。


加入資格など詳細は中小機構のHPを参照してください。中小機構のHP

第1章:倒産防止共済(経営セーフティ共済)の基礎知識

まずは制度の全体像を正しく理解しましょう。「節税商品」として語られがちですが、本質は国の政策による「セーフティネット」です。

1-1. 制度の目的と運営母体

正式名称は「中小企業倒産防止共済制度」。国が全額出資する独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営しています。
その主たる目的は、「取引先の予期せぬ倒産による連鎖倒産を防ぐこと」です。取引先が倒産し、売掛金回収が困難になった際に、迅速に資金を借り入れられる共済制度として設計されました。

1-2. 加入資格(誰が入れるのか)

非常に多くの中小企業・個人事業主が対象ですが、要件は厳格です。
原則として、「継続して1年以上事業を行っている」中小企業者であることが前提です。

【加入できる中小企業者の範囲】

  • 製造業・建設業・運輸業等:資本金3億円以下 または 従業員300人以下
  • 卸売業:資本金1億円以下 または 従業員100人以下
  • サービス業:資本金5,000万円以下 または 従業員100人以下
  • 小売業:資本金5,000万円以下 または 従業員50人以下
  • 個人事業主:上記に準ずる規模で事業を行っている者

【注意:加入できない事業者】

ここが重要なポイントです。すべての事業者が加入できるわけではありません。

  • 医療法人(※個人開業医は加入可能ですが、医療法人化すると加入資格を失います)
  • 農事組合法人
  • NPO法人(特定非営利活動法人)
  • 森林組合
  • 農業協同組合
  • 外国法人
  • 事業開始から1年未満の事業者
  • 所得税や法人税を滞納している者

特に、医療法人が加入対象外である点は、医師・歯科医師の先生方が法人成りを検討する際に最大の論点となります。

1-3. 掛金の仕組み

経営者の資金繰りに合わせて柔軟に設定できる点が最大の特徴です。

  • 月額掛金:5,000円~20万円(5,000円単位で設定可能)
  • 掛金総額の上限:800万円
  • 増額・減額:経営状況に応じて手続きにより変更可能
  • 前納制度:向こう1年分(12ヶ月分)を一括して支払うことが可能(※節税策として重要)

第2章:最大のメリット「全額損金算入」による節税効果

倒産防止共済が、多くの中小企業に導入されている最大の理由は、掛金が全額経費(損金)になるという強力な税制優遇措置にあります。

2-1. 損金(経費)算入のメカニズム

支払った掛金は、法人の場合は「損金」、個人事業主の場合は「必要経費」として全額計上できます。
これは、税金を減らすというよりは、「利益の繰り延べ(課税の先送り)」を行う仕組みです。

【最大活用時のインパクト】

月額上限20万円 × 12ヶ月 = 年間240万円

この240万円を利益から控除できます。
さらに、決算月に「翌年1年分」を前納(短期前払費用の特例を適用)することで、当期分240万円+翌期分240万円=最大480万円を一気に損金化することが理論上可能です。

実効税率を約30%と仮定すると、240万円の損金計上で約72万円の税キャッシュアウトを回避し、その資金を簿外資産(共済積立金)として内部留保できることになります。

2-2. 簿外資産としての資金備蓄機能

支払った掛金は、貸借対照表(BS)には資産として計上されず(※税務上の処理による)、全額費用処理されます。しかし、実際には中小機構に現金が積み上がっています。
つまり、「決算書には載らない隠れた資産(簿外資産)」を作ることができるのです。これは、将来の赤字補填や退職金原資として極めて有効です。


第3章:本来の機能「融資制度」による防衛策

節税ばかりが注目されますが、本来の「倒産防止」機能も非常に優秀です。銀行融資がストップするような緊急時でも、この共済があれば資金調達が可能になります。

3-1. 共済金の貸付(取引先倒産時)

取引先が倒産し、売掛金や受取手形が回収不能になった場合、以下の条件で貸付を受けられます。

  • 借入限度額:「回収困難となった債権額」または「掛金総額の10倍(最高8,000万円)」のいずれか少ない額
  • 担保・保証人:不要
  • 金利:無利子(ただし、貸付額の10分の1に相当する掛金権利が消滅します)

「無担保・無保証人・即座」に借りられる点は、有事の際の生命線となります。

3-2. 一時貸付金(自己都合の資金調達)

取引先の倒産がなくても、自社の資金繰りが急に悪化した場合や、設備投資資金が必要な場合に利用できます。

  • 借入限度額:解約手当金の95%の範囲内(30万円以上)
  • 金利:低金利(金融情勢により変動しますが、一般の商工ローン等より低利です)
  • 返済期間:1年(期限一括償還)

解約せずに資金を引き出せるため、一時的なショートを回避する手段として機能します。


第4章:【最重要】令和6年(2024年)10月の法改正と「2年縛り」

ここが本記事の核心部分です。これまでの「入ったり辞めたりを繰り返して節税する」という手法は、法改正により事実上封じ込められました。

4-1. 改正の背景

これまで、倒産防止共済は「40ヶ月加入していれば100%戻ってくる」という仕様を利用し、「加入して全額損金 → 解約して益金計上(赤字と相殺) → すぐに再加入してまた損金」というサイクルを繰り返す手法が横行していました。
会計検査院や政府はこれを「制度の趣旨(連鎖倒産防止)を逸脱した過度な節税行為」と問題視し、規制に踏み切りました。

4-2. 改正内容:再加入時の損金算入制限

令和6年(2024年)10月1日以降に倒産防止共済を「解約」した場合、その後の取り扱いが以下のように変更されました。

解約の日から2年を経過する日までの間に支出する掛金は、損金(または必要経費)に算入できない。

つまり、解約してすぐに再加入することはできますが、2年間は掛金が一切経費にならず、単なる資産計上(積立)となるのです。節税メリットが2年間完全に消滅するため、安易な解約・再加入スキームは経済合理性を失いました。

4-3. 今後の実務対応

この改正により、これからの倒産防止共済は「短期的な利益調整ツール」ではなく、「中長期的な退職金準備または重大な経営危機への備え」として位置づけ直す必要があります。
「とりあえず解約して、また入ればいい」というアドバイスをする専門家がいれば、その知識はアップデートされていません。絶対に注意してください。


第5章:出口戦略の重要性と具体的シナリオ

倒産防止共済は「入り口(損金算入)」よりも「出口(解約・益金算入)」が圧倒的に難しい制度です。
解約して戻ってくるお金(解約手当金)は、全額が「雑収入(法人の場合)」として収益計上され、法人税の課税対象になります。何の手当てもなく解約すれば、過去に節税した分が一気に課税され、単なる「課税の繰り延べ」に終わります。

5-1. シナリオA:役員退職金の支給(王道)

したがって、解約手当金という「大きな収益」を打ち消すだけの「大きな費用(損失)」が発生するタイミングで解約する必要があります。

最も推奨される出口戦略です。
経営者の勇退時や、死亡退職時に解約し、その解約手当金を原資として「役員退職金」を支給します。

  • 解約手当金(益金)
  • 役員退職金(損金)

これらを同額程度でぶつけることで、法人税課税を回避します。さらに、受け取る個人側の退職金課税も優遇されているため、法人・個人双方で高い節税効果が得られます。

5-2. シナリオB:大規模修繕・設備投資

社屋の修繕、車両の入れ替え、機械設備の購入(即時償却可能なものや少額減価償却資産など)のタイミングで解約します。
ただし、設備投資は減価償却(数年に分けて費用化)が基本となるため、解約手当金全額を一括で相殺するのは計算上難しいケースが多い点に留意が必要です。

5-3. シナリオC:赤字補填

本業で大きな赤字が出た年度に解約します。
「赤字(損失)」と「解約手当金(利益)」を相殺し、赤字幅を埋めることで、キャッシュフローを改善させます。まさに「経営セーフティ」としての本来の使い方です。


第6章:デメリットとリスク管理

メリットだけでなく、デメリットも直視しなければなりません。

6-1. 「40ヶ月ルール」の壁

掛金納付月数が40ヶ月(3年4ヶ月)未満で解約すると、解約手当金が掛金総額を下回ります(元本割れ)。

  • 12ヶ月未満:掛け捨て(返戻金ゼロ)
  • 24ヶ月以上40ヶ月未満:80%~95%程度の返戻率
  • 40ヶ月以上:100%返戻

資金繰りが苦しいからといって早期に解約すると、節税効果以上に現金を失う可能性があります。

6-2. 資金の固定化(キャッシュロック)

毎月の掛金は現金支出です。税金は安くなりますが、手元のキャッシュは確実に減ります。「節税のために無理して加入し、資金繰りが悪化して銀行借入を起こす」というのは本末転倒です。

6-3. 800万円の総額上限

掛金累計額が800万円に達すると、それ以上積み立てることはできません。つまり、損金算入効果もそこでストップします。無制限に節税できるわけではないことを理解しておく必要があります。


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第7章:実務詳細(個人事業主・法人別)

最後に、経理・税務実務上の注意点をまとめます。

7-1. 個人事業主の注意点

  • 所得区分の制限:必要経費に算入できるのは「事業所得」のみです。「不動産所得」のみの事業者は加入はできても経費にはできません(アパート経営等は対象外)。
  • 確定申告書の添付書類:掛金を必要経費に算入するには、確定申告書に「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」を添付する必要があります。これを忘れると経費として認められません。

7-2. 法人の注意点

  • 別表の添付:法人税申告書において、別表10(6)「特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書」の添付が必須です。
  • 適用額明細書:租税特別措置法の適用を受けるため、適用額明細書への記載も漏れなく行う必要があります。

7-3. 会計処理(仕訳例)と決算書の見栄え工夫

【掛金支払時の基本処理(法人)】

(借方)保険料 200,000 / (貸方)普通預金 200,000
※摘要:経営セーフティ共済掛金

この基本的な処理が、実務では以下の2つの方法で運用されています。

【方法1:損金直接算入方式(税務上最も有利)】

上記の仕訳のまま、支払掛金を即座に「損金」として計上します。
メリット:当期の費用が増え、利益が減少するため、法人税負担が軽減されます。
デメリット:決算書(貸借対照表)に「保険料」という費用科目が大きく計上されるため、一見すると「経費がかかっている」という見え方になり、決算書の見栄えが悪くなる可能性があります。

【方法2:保険積立金資産計上方式(決算書対策)】

法人で決算書の見栄えを重視する場合は、以下の処理が採用されることもあります。

(借方)保険積立金(資産) 200,000 / (貸方)普通預金 200,000
※摘要:経営セーフティ共済掛金

この場合、貸借対照表の「資産の部」に「保険積立金」として計上されます。一見すると「資産が増えている」という形で決算書が表示されるため、見栄えが良好です。

しかし、税務上は「保険積立金という名目の資産」は、倒産防止共済の性質上、損金算入の対象外です。そこで登場するのが「別表での減算処理」です。

【別表(別紙4等)での税務調整】

貸借対照表では「保険積立金」として資産計上していても、税務申告書の別表で以下のように処理します:

別表4(法人税申告書の「税務申告調整」ページ)において:

  • 決算書利益:20,000,000円(保険積立金を費用に含めず計上)
  • 別表で減算:-200,000円(倒産防止共済掛金の損金算入特例により減算)
  • 結果:最終的な課税所得は決算書利益から200,000円を控除した額になります

このカラクリにより:

  1. 決算書(貸借対照表)には「保険積立金」という資産が計上され、見た目上、純資産が増えているように見えます
  2. 同時に、税務申告書(別表)では倒産防止共済掛金を損金として認識し、法人税課税所得を圧縮します
  3. 銀行や取引先に提示する「決算書」の数字は良好に見える一方で、実際の税負担は軽減されるという「二重の効果」が得られます

【解約時の処理】

支払時に保険積立金で処理していた場合
(借方)普通預金 8,000,000 / (貸方)保険積立金 8,000,000

支払時に保険料として経費処理していた場合
(借方)雑費(または損失)8,000,000 / (貸方)雑収入 8,000,000
※摘要:経営セーフティ共済解約手当金

少しわかりにくいですが保険積立金で処理していた場合は解約時に収入計上されません。ただし、別表でその期の利益にプラスする処理をするため税金を計算するうえでの利益は支払時に保険料として経費処理していた場合と同じになります。

【重要な注意点】

この「保険積立金として資産計上し、別表で減算する方法」は、以下の要件を満たす必要があります:

  • 倒産防止共済掛金の支払要件を満たしていること
  • 適用額明細書を正確に作成していること
  • 会計士・税理士などの専門家の指導の下で行うこと
  • 税務調査時に説明できる根拠(掛金明細書等)を保管していること

実務上は、決算書の見栄えと税務上の有利性の両立を図る手法として、一定規模以上の法人で活用されています。ただし、この方法を採用する場合は、必ず顧問税理士に相談し、正確な別表作成を指示されるべきです。税務当局の判断基準が厳しくなっている昨今、自己流で行うことは極めて危険です。


まとめ:税理士からのアドバイス

倒産防止共済は、中小企業にとって極めて有用な制度ですが、もはや「手軽な節税商品」ではありません。令和6年の改正により、「計画性のない加入・解約」は明確にリスクとなりました。

加えて、会計処理の方法も一つではなく、企業の方針(決算書重視か、税負担軽減か)によって変わります。どの方法を採用するかは、単なる「経理の便利さ」ではなく、企業の経営戦略(銀行融資が必要か、投資家への見栄えか、純粋に節税か)と、税務リスク(税務調査対応)の両方を勘案して決定する必要があります。

【導入・継続の判断基準】

  1. 40ヶ月以上(約3年半)資金を寝かせても資金繰りに問題がないか?
  2. 将来の「出口(解約タイミング)」を具体的にイメージできているか?
  3. 2024年10月以降に解約した場合、2年間は再加入できるけど掛金が損金(経費)にならないことを理解しているか?
  4. 会計処理と税務処理を正確に分離でき、説明責任を果たせるか?

これらをクリアできるのであれば、依然として最強の経営防衛策です。顧問税理士と相談のうえ、自社の財務状況と経営方針に合わせた最適なプランニングを行ってください。税制は常に変化します。最新の情報を掴み、賢く経営を守りましょう。

最後に

このように節税メリットは大きいですが、注意事項もありますので、顧問税理士にしっかり相談して加入の検討をしましょう。

今回のコロナウイルス感染症のような不測の事態が起こることを想定して少しでもこういった制度を利用して節税しながら、いざというときに資金不足にならないよう対策をたてましょう。

本当は税理士からどんどんアドバイスすべきなのですが、お客様からもぜひ顧問税理士に相談してください。

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