中小企業、個人事業主が決算で必ず見直すべき7つの項目|利益を最大化する方法を徹底解説②

決算時に必ず見直すべきポイントを詳しく解説します。

決算は、ビジネスの健康状態を把握し、翌年度の成長計画を立てる重要なタイミングです。単なる数字の整理だけでなく、経営改善や利益最大化のために活用すべきです。本記事では、決算で見直すべき項目について詳しく解説し、それぞれの項目が経営にどのように役立つのかをお伝えします。

こちらの記事は前回からの続きになります。

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目次

1. キャッシュフローの分析

重要性: 現金不足による経営危機を防ぐ

ジョン:「キャッシュフローって、ただお金の出入りを見るだけじゃないの?」

ピエール:「確かに現金の出入りを把握するのが基本だけど、それ以上に、どこで現金を増やし、どこを見直すべきかを分析することが重要だよ。特に営業活動、投資活動、財務活動の3つに分けて資金繰りを考えると分かりやすい。」


1. 営業活動によるキャッシュフロー

本業の売上と支出から得られるキャッシュフローは、事業の収益性を示します。

見直し方法

  • 純現金収支を把握: 売上高から直接的な経費(原価や人件費)を差し引き、実際に手元に残る金額を確認。
  • 無駄な支出の洗い出し: 毎月の支出項目を一覧にし、削減可能な経費を見つける。

例: ジョンのカフェの場合

カフェで提供する水が無料サービスになっていましたが、提供頻度が高くコストがかさんでいました。これを一部有料化した結果、月に5万円の節約ができ、営業キャッシュフローが向上しました。

※あくまでも例なので、あまり無茶なことはしないでくださいね。


2. 投資活動によるキャッシュフロー

設備投資や資産購入に関連する現金の流れは、成長に必要な投資である反面、手元資金を減らす要因にもなります。

見直し方法

  • 投資の優先順位付け: 必要な投資と不要な投資を区別。特に、利益率が向上する投資を優先。
  • 分割払いの検討: 一度に大きな支出をせず、分割払いで負担を軽減する。

例: ジョンのカフェの場合

新しいエスプレッソマシンの購入を一括で予定していましたが、分割払いに変更し、キャッシュフローへの影響を抑えました。

トータルの支出を減少させるのはもちろん大事ですが、資金繰りを楽にしておくことで突発的な支出にも対応できるようにしてくことも大事です。バランスよく投資しましょう!


3. 財務活動によるキャッシュフロー

借入金や返済、配当金の支払いに関連するキャッシュフローを確認します。

見直し方法

  • 適切な借入金管理: 借入金が適正であるか、過剰な返済計画がないかを確認。
  • 配当の見直し: 必要以上の配当を行っていないか確認し、内部留保を増やす工夫をする。

例: ジョンのカフェの場合

借入金の一部返済を繰り延べすることで、月次キャッシュフローが10%改善し、安定的な運営資金を確保しました。


キャッシュフロー分析のポイント

  • 月次のキャッシュフローを定期的に確認する
    計画が達成できているかを毎月チェックし、必要に応じて調整します。
  • キャッシュフローを改善するための行動を具体化する
    例えば、売掛金の回収期間短縮や在庫削減などの施策を実行します。

2. 中小企業・個人事業主向け税務対策の見直し

重要性: 税金負担を最小限に抑える

ジョン:「税金のことは正直よく分からないんだけど、法人と個人で何か違うの?」

ピエール:「違いはあるよ。それぞれの状況に合わせた対策が必要なんだ。法人には法人税、個人事業主には所得税がかかるから、それを前提に節税策を考えよう。節税策を実行するのも経営には大事だよ。」


法人の場合の税務対策

法人の場合、法人税や住民税などが課税対象です。決算での見直し次第で税負担を軽減する余地があります。

1. 損金算入できる経費の最大化

法人税は利益に対して課税されるため、経費を適切に損金算入することで課税所得を減らすことが可能です。

  • 交際費の適用条件を確認
    交際費の損金算入限度額(資本金1億円以下の法人では年間800万円)が適用されているか確認。
  • 会議費の見直し
    会議費は、一定額以下の飲食を含む場合、交際費ではなく経費として計上できます。

2. 減価償却費の確認

決算時に減価償却費が適切に計上されているか確認しましょう。特に、固定資産をまとめて損金算入できる「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の利用が有効です。

  • 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
    購入価格が30万円未満の資産をまとめて損金算入できます。

詳細は国税庁HP参照→中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

3. 法人税額控除の活用

法人税額控除は、特定の支出に対して税額を直接減少させる仕組みです。

  • 賃上げ促進税制
    賃金総額を一定割合以上増加させた場合、税額控除が受けられる制度です。
  • 中小企業投資促進税制
    設備投資を行った場合に、即時償却や税額控除が適用されます。

実例: ジョンのカフェの場合(法人化)

ジョンは新しい厨房機器(1台25万円)を購入しました。ピエールの助言で、これを「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」として処理し、全額を損金算入。

詳細は国税庁HP参照→賃上げ促進税制
         →中小企業投資促進税制


個人事業主の場合の税務対策

個人事業主の場合は、所得税が主な課税対象となります。特に、青色申告制度を活用することが重要です。

1. 青色申告特別控除の適用確認

青色申告特別控除は、帳簿を正確に記録することで最大65万円(電子申告の場合)を所得から控除できます。適用条件を確認しましょう。

  • 帳簿の整備: 簡易簿記では10万円控除、複式簿記で55万円控除。電子申告ならさらに10万円追加控除。
  • 専従者給与の計上: 家族が事業を手伝っている場合、給与として経費計上が可能。

国税庁HP→青色申告特別控除

2. 必要経費の見直し

個人事業主は、売上から必要経費を差し引いた金額が所得となります。経費の見直しは節税のカギです。

  • 自宅兼事務所の家賃
    自宅の一部を事務所として使用している場合、その面積に応じて家賃や光熱費の一部を経費に計上できます。
  • 事業用車両の減価償却
    車両購入費用や維持費を経費に計上。事業利用割合に応じた減価償却を忘れないように。

3. ふるさと納税や小規模企業共済の活用

個人事業主には、節税しながら将来に備える方法も多くあります。

  • ふるさと納税
    所得控除を受けつつ、自治体への寄附が可能。
    ふるさと納税を行っているサイトで限度額の試算もできるので試してみる。
  • 小規模企業共済
    事業主の退職金を準備する制度で、掛金全額を所得控除に計上可能。
    多くの個人事業主が加入しています。

例: ジョンのカフェの場合(個人事業主)

ジョンは事業用に購入した自動車の費用(200万円)を適切に減価償却し、1年目に50万円を経費に計上しました。また、自宅の一部を事務所として利用しているため、家賃と光熱費の30%を経費に計上しました。


法人・個人共通の税務対策

1. 消費税申告の見直し

  • 免税事業者・簡易課税制度
    売上規模が課税要件を超える場合、簡易課税制度の適用を検討する。

2. 繰越控除の活用

前年の赤字を繰り越し、今年の所得から控除することで税負担を軽減できます。

3. 専門家への相談

税務は専門性が高いため、税理士に相談することで適切な申告と節税対策が可能になります。


ピエール:「ジョン、法人でも個人でも、税務対策は利益を守るために欠かせないものなんだ。特に決算時には見直しを徹底して、申告漏れや損金算入漏れがないようにしよう。そして、分からないことがあれば専門家に頼るのが一番だよ!」

3. 人件費の最適化

重要性: 労務コストを効率化しつつ従業員の満足度を向上

ジョン:「人件費が増えてきてる気がするんだけど、どうすればいいの?」

ピエール:「人件費を最適化するには、単に削るのではなく、効率的に使うことを考えよう。従業員の働きやすさも維持しながらコストを抑えるのが重要だよ。」

見直しポイント

  1. 労働時間の適正化
    • 過剰な残業: 月次の労働時間を確認し、残業が常態化している場合は業務フローを見直す。
    • シフトの調整: 特に閑散期の人員配置を工夫し、無駄な人件費を削減。
  2. 外注と内製のバランス
    • 業務を外注する場合、コスト対効果を評価。内製化が可能な部分があれば、適切に移行する。
    • 逆に、専門性の高い業務は外注することで効率化を図る。
  3. 福利厚生費の最適化
    • 従業員満足度に直結する福利厚生は削減せず、従業員にとって効果的なプランに集中投資する。
    • 不要なサービスがあれば契約を見直す。
  4. 教育・研修の実施
    • 効率的な人材育成で、生産性の向上を図る。優秀な人材が育つことで、業務効率化につながる。

具体例: ジョンのカフェの場合

ジョンのカフェでは、スタッフのシフトがピークタイムに集中しておらず、暇な時間帯に人件費がかさんでいました。ピエールの助言でシフトを調整した結果、月の人件費を15%削減し、さらにスタッフの残業も減らせました。

7. 予算と実績の比較

重要性: 計画と実績のギャップを把握し、次の戦略に活かす

ジョン:「予算と実績を比較するのって、結局どう役立つの?ただ予算通りにいかなかったって分かるだけじゃ意味がない気がする。」

ピエール:「確かに予算と実績のギャップを知るだけじゃ足りないね。その原因を突き止めて、次の戦略に活かすことが重要だよ。これをしっかりやれば、経営の精度がグンと上がるんだ。」


予算と実績を比較する際の基本的な手順

  1. 予算と実績の数字を一覧化する
    • 各月や四半期ごとに売上、経費、利益の予算と実績を並べて見比べる。
    • 売上目標、広告費、人件費など主要項目に分けて比較するのがポイント。
  2. 差異(ギャップ)を計算する
    • 実績 – 予算 = 差異として、どの項目にどれだけズレが生じているかを把握。
    • 差異がプラス(予算以上)かマイナス(予算未達)かを記録。
  3. 差異の原因を分析する
    • 売上の減少: 季節変動、競合の影響、キャンペーン不足などが原因かもしれません。
    • コストの増加: 原材料費の高騰、予想外の修繕費などが影響していないかを確認。

予算と実績の比較がもたらすメリット

  1. 計画精度の向上
    過去の実績データを次年度の予算策定に活用することで、より現実的で達成可能な計画を立てられる。
  2. リスク管理の強化
    大きなマイナス差異が出た項目を重点的に対策することで、次年度のリスクを軽減。
  3. 成長戦略の明確化
    プラス差異が出た分野を分析し、その成功要因を次年度の戦略に活かす。

実例: ジョンのカフェの場合

  • 売上目標未達
    ジョンは月間売上予算100万円を設定していましたが、3月の実績は80万円に留まりました。原因を調べると、競合店が新しいキャンペーンを開始し、自店の来客数が減少していたことが分かりました。
    • 対策: ジョンは自店の強みを活かしたリピーター向けの割引キャンペーンを開始し、翌月には売上を回復させました。
  • 広告費のオーバーラン
    広告予算10万円に対し、実績は15万円。デジタル広告が効果を発揮したものの、費用がかさみました。
    • 対策: 次年度は広告費の成果を細かく測定し、効果の低い媒体を削除することで、予算内での運用を目指しました。

予算策定に活かすポイント

  1. 実績データを基に目標を設定する
    • 予算は前年の実績データを活用しつつ、現状の市場状況や自店の課題を反映させて作成。
  2. 柔軟な予算枠を用意する
    • 予期せぬ支出や利益増加分を考慮し、柔軟に対応できる予算を策定する。
  3. 月次で確認し軌道修正を行う
    • 決算時だけでなく、毎月予算と実績を照らし合わせ、小さなギャップを早期に修正。

まとめ

ジョン:「ピエール、今回の決算で何を見直せばいいのかがかなり分かったよ!この7つのポイントを全部確認すれば、来年の経営がもっと楽になりそうだ。」

ピエール:「その通りだよ、ジョン。特に損益分岐点の確認や経費の見直しは、すぐに利益に直結するから優先的に取り組もう。あと、定期的に数字をチェックする癖をつければ、決算のときも慌てずに済むようになるよ。」


  1. 売上と利益の確認
    • 損益分岐点を把握し、利益率を改善する。
  2. 経費の見直し
    • 固定費や変動費を削減し、コスト効率を最大化する。
  3. 資産と負債の管理
    • 売掛金、在庫、借入金を適切に管理し、財務健全性を保つ。
  4. キャッシュフローの分析
    • 営業、投資、財務活動ごとの現金の流れを把握し、リスクを軽減。
  5. 税務対策の見直し
    • 法人・個人それぞれの特性に応じた節税対策を実施する。
  6. 人件費の最適化
    • 労務コストを効率化しながら、従業員満足度を向上させる。
  7. 予算と実績の比較
    • ギャップを分析し、次年度の計画に活かす。

この記事を参考に、決算を経営改善の一歩と捉え、実践的な見直しを行いましょう。定期的なチェックと専門家の助言を取り入れることで、経営の精度をさらに高めることができます。


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