永年勤続表彰は福利厚生費?給与?|福利厚生費になるための要件を解説

会社に長く勤めている社員に対して、日ごろの感謝として行われるものに【永年勤続表彰】があります。
この表彰は基本的に記念品を贈呈することが多いでしょう。

記念品では無くてお金で渡してはいけないのでしょうか。という質問がよくあります。

そこで、本記事では永年勤続表彰とはどういったものか、会社で記念品等を渡す場合の注意点について解説しています。

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永年勤続表彰は福利厚生費か給与になる

永年勤続表彰とは、10年、20年と企業に長く勤めてくれている従業員に、日ごろの労いとこれからの激励の気持ちを込めて記念品や商品券を贈呈したりすることです。

永年勤続表彰の経理処理

永年勤続表彰は記念品等を従業員に贈呈するのですが、税法では基本的に『福利厚生費』か『給与』のいずれかになります。

会社にとってはどちらも経費という面では変わりませんが、従業員にとっては福利厚生費か給与かで取り扱いが異なってきます。

福利厚生費の場合は従業員は特に何もありません。

給与の場合は、毎月の給料(賞与)と同じように扱われ源泉徴収の対象となり、従業員は所得税・住民税の負担が生じてしまします。

せっかく従業員のために行うものですから、給与となっては嬉しさは半減になってしまいますので、しっかりと福利厚生費になるような方法で表彰するようにしましょう!

永年勤続表彰の対象となる従業員は?

対象となる従業員は勤続年数に応じて表彰することになるのですが、その年数は企業によってさまざまだとは思います。

勤続年数に応じて表彰するのですが、毎年表彰するような場合は給与とされてしまいます。

一般的には最初の10年を一度目とし、そこから10年毎や5年毎に行われることが多いようです。そのなかでも10年単位で実施する企業が多いようです。

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永年勤続表彰の記念品等の種類や相場は?

永年勤続表彰の記念品等が『福利厚生費』として認められるには記念品等の種類と金額が一定の条件を満たさないといけません。

記念品等の種類

記念品、旅行招待、商品券、旅行券、賞金(金一封)などのいずれかを贈呈する企業が多いです。
さらに記念品等にプラスしてリフレッシュ休暇を付与するケースもあるようです。

これらのうち給与として課税されれてしまうのは、商品券・賞金(金一封)は給与になります。
一定の条件を満たさない場合は旅行券も給与になります。

一方で、記念品・旅行招待・一定の条件を満たした旅行券は福利厚生費となる可能性があります。

相場はいくらくらいなら福利厚生費になるか

記念品の種類によって福利厚生になるもの(記念品・旅行招待・一定の条件を満たした旅行券)であっても、金額があまりにも高額だと給与として課税されますので注意が必要です。

相場は

勤続年数記念品等の価格
10年目36,000円程度
15年目37,000円程度
20年目75,000円程度
25年目71,000円程度
30年目131,000円程度
35年目85,000円程度

となっています。(参照:産労総合研究所「永年勤続表彰制度に関する調査」2006年)

比較的古いデータになりますので現在はもう少し増加している可能性もありますが、参考にはなるかと思います。

ただし、この金額だから大丈夫というものがないのが難しいところになります。

国税庁では社会通念上相当と認められるものということになっていますので、上記はあくまでも参考としてください。

金額については最後にも記載していますので参考にしてください。

永年勤続表彰の記念品等の課税関係は?

種類によって給与として課税されるもの、課税されないものと変わってきます。

給与として課税されるもの

賞金(現金)、商品券:その全額(商品券は券面額)、様々な商品があるカタログ

給与として課税されないもの

記念品、旅行や観劇への招待費用で次に掲げる要件を満たすもの

(1)その人の勤続年数や地位などに照らして、社会一般的にみて相当な金額以内であること。

(2)勤続年数がおおむね10年以上である人を対象としていること。

(3)同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていること。

旅行への招待費用ではなく、旅行券をあげたらどうなる?

商品券は換金性があることから、現金と同等とみなされ給与課税されますが、旅行券の場合はどうなるでしょう。
旅行券も換金性はあるから給与課税になるのが原則だと思ってください。

ただし、次の要件を満たす場合は給与課税されません。

  • 旅行の実施は、旅行券の支給後1年以内であること
  • 旅行の範囲は、支給した旅行券の額からみて相当なもの(海外旅行を含みます。)であること。
  • 旅行券の支給を受けた者が当該旅行券を使用して旅行を実施した場合には、所定の報告書に必要事項(旅行実施者の所属・氏名・旅行日・旅行先・旅行社等への支払額等)を記載し、これに旅行先等を確認できる資料を添付して貴社に提出すること
  • 旅行券の支給を受けた者が当該旅行券の支給後1年以内に旅行券の全部又は一部を使用しなかった場合には、当該使用しなかった旅行券は貴社に返還すること。

ちょっと従業員さんからするとハードルが高いかなと思いますね。
特に3の報告書を作成するというのは仕事みたいでせっかくの旅行が休暇という感覚が薄れてしまうと感じる方もいるかもしれません。

なお、すぐに旅行に行く前提で旅行券と同じような要件を満たす場合の事前の現金支給

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社会一般的にみて相当な金額以内とは?

これについては、まず旅行券の支給について昭和60年に日本放送協会が国税庁に照会をしています。

これによると、25年勤続者は10万円相当、35年勤続者は20万円相当の支給をするが給与課税されないかとの照会です。

国税庁はこの支給で差し支えなしとしましたので、これも古いものになりますが参考になると思います。

永年勤続記念旅行券の支給に伴う課税上の取扱いについて(照会)

それでは社会一般的にみて相当な金額以内とはどの程度になるでしょうか。

上記照会からもおおよその目安としては、敢えて金額をいうのであれば、多くて20年で10万円、30年で20万円程度になるのかなというのが個人的見解です。

もちろんこれ以上はダメ、これ以下なら良いという条文は無いので、あくまでも世間相場や企業の状況等を考慮しながら判断していくことになりますのでご注意ください。

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